多能工

多能工とは?小子高齢化社会を生き抜く多能工のメソッド

『多能工』とは製造業や建設業において主に使われる技術者の名称で、複数のスキル(技能)を持つことで工程を兼務することができるプロフェッショナルの総称です。

現代社会において多能工の価値は高まっています。それは小子・高齢化が進む社会で働き手が少なくなっているからです。事実、15歳から64歳の生産年齢人口は2020年の7,449万人が2040年には5,978万人と大きく減少することが推計されています。

働き手が少なくなっている労働現場(事務所等のオフィスワークを含む)では働き方の抜本的な改革が求められています。そのような環境で真価を発揮するのが多能工です。

この記事では「多能工とは一体何なのか?」という疑問に対し多能工の歴史から紐解き、現代社会との関わりやメリット・デメリットについて解説します。

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この記事でわかること
  • 多能工の歴史
  • 多能工と現代社会の関わり
  • 多能工のメリットとデメリット
  • 現代社会における多能工の重要性

多能工の歴史

多能工の発祥は1980年代のトヨタ自動車です。

それまでの自動車産業では米国のフォード社が発明したベルトコンベアによる大量生産「フォード式」が主流でしたが、時代の移り変わりにより状況が変化しました。

石油危機が到来し、米国の消費者は燃費がよくて安い日本社製の車を買うようになりました。しかし日本車が猛烈な勢いで売れたことで逆に米国車が売れなくなり、米国の大手自動車メーカーで大量のリストラが勧告されるなど大きな反発を生みました。

政府からの圧力により、日本の自動車メーカーは海外輸出の自主規制を行いました。一方で海外での販売を続けるために生産拠点を海外へ移すという戦略をとり、これにより以下ような弊害が生まれました。

  1. 生産拠点を海外へ移したことで日本の生産現場が空洞化。
  2. 製品が複雑化したことでより多品目を扱うようになったが、生産ラインの改造に時間やコストがかかるようになった。
  3. 「フォード式」は大量生産に向いているが生産数を調整することが難しいので不要在庫を抱えてしまうという課題があった。

これらの問題をいち早く解決し、日本の自動車産業を牽引したのがトヨタ自動車です。

トヨタ自動車が掲げた『トヨタ生産方式』の大原則、【ジャスト・イン・タイム(JIT)】【自働化】の理念に基づき、時代の変化に対応した効率的な生産を可能にしました。

  • ジャスト・イン・タイム(JIT)
    「必要なときに必要なだけ」という不要在庫やタイムロスなどの無駄を徹底して排除するという考え方。
  • 自働化
    にんべんのついた自”働”なのが特徴。生産ラインで問題が発生した時に人が発見して機械を停止していた従来の方式を辞め、機械自らが検知・停止するという考え方。

トヨタ自動車はこれまでの完全マシン生産をやめ、機械と人の併用生産に切り替えました。これにより生産数を調整することが可能になりました。

さらに生産効率を上げるために1人の作業員が複数の工程をまかなうことができるよう育成し、個人のスキルをあげることで生産スピードの向上、少人数化で人件費のコストダウンを果たしました。このような背景で生まれたのが多能工です。

【詳細記事】トヨタに学ぶ多能工の導入

多能工と現代社会の関わり

小子高齢化は現代の社会問題です。働き手の減少により、どの産業も人手不足が深刻化しています。人手不足を補うために長時間労働を強いられたり、安い賃金で雇われたりと社会全体として抜本的な改革に至っていません。

働き手が少なくなっていく現状に対し、今の働き方を続けていくことは困難です。そんな中、多能工の考えが見直されています。

多能工は複数の工程を兼務することで省人化・効率化できるよう育成されたプロフェッショナルです。まさに働き手が少なくなっている現代社会のニーズにマッチした働き方です。

さらに従来の考えでは多能工は製造業や建設業に見られる技術者のイメージでしたが、”スキルを複数もつスペシャリスト”という考え方はどの業界・職種でも応用可能です。まさにこれからの社会は多能工が当たり前になり、社会は「多能工化」していきます。

多能工のメリット・デメリット

多能工のメリット

【メリット】

  1. 作業の省人化・効率化が図れる
  2. スキルの掛け合わせでオンリーワンの存在になれる
  3. 市場価値が高まることで給与アップがねらえる

①作業の省人化・効率化が図れる

通常の作業(例:単能工2名による作業)では工程間で作業の引き継ぎがあります。ここがタイムロスや情報伝達の齟齬(コミュニケーションエラー)がうまれる原因となります。

ですが多能工が2つの工程を兼務することで”引き継ぎがそもそも必要ない”状態がつくれます。するとスムーズに次の行程へ移行でき、省人化・効率化が図れます。

②スキルの掛け合わせでオンリーワンの存在になれる

1つのスキル(仮にAスキル)を持つ人は大勢います。ではAとBの2つのスキルを持つ人はどうでしょう?2つのスキルを持つ人数は減るはずです。

このようにA×B×C×・・・複数のスキルを掛け合わせることで競合相手が減り、オンリーワンの存在になることで市場価値を高めることができます。市場価値を上げることで希少性が獲得できます。

③市場価値が高まることで給与アップがねらえる

前述の通り、スキルを掛け合わせることで希少な存在になります。さらに競合相手が減ることで需要があがり、市場での価値が高まります。

市場価値が高まれば転職で採用してくれる企業が複数手を挙げますので”選ぶ”ことができます。多くの場合で給与交渉が難航するのはこちらに選ぶ権利がないからです。社内での給与交渉においても実績が伴っていれば交渉で優位に立つことができます。

多能工のデメリット

【デメリット】

  1. スキルを習得するまでに時間がかかる
  2. 関係の無いスキルの掛け合わせは役に立たない
  3. 時間管理ができないと大変

①スキルを習得するまでに時間がかかる

多能工になるためには時間がかかります。

教育改革実践家の藤原和博氏の著書「100万人に1人の存在になる方法」によると、1つのスキルを習得するのにかかる時間は約1万時間といわれます。これは小学校入学から中学校卒業までの義務教育に費やす時間と同じです。

つまり2つのスキルを習得するには約2万時間を要します。複数のスキルを習得するにはそれだけ時間がかかるということです。スキルの習得期間を忍耐強く続けられるかが重要となってきます。

②スキル同士のシナジーがないと役に立たない

AスキルとBスキルに相関性がないと全く役に立ちません。例えば『プログラミング』と『料理』。相関性がなさすぎてビジネスプランが浮かびませんよね。

スキルの掛け合わせは相関性(シナジー)が非常に重要です。〇〇×〇〇の掛け合わせ次第で市場価値は2倍、3倍とスケールアップしますが相関性がなければ何も生まれません。

スキルの掛け合わせはシナジーが生まれるもの同士でなければなりません。

③時間管理ができないと大変

組織に重宝される多能工ですが時間管理には注意しなければいけません。

2つの工程を兼務するからといって2人区作業が単純に1人区作業に減るわけではありません。

単能工と同じ時間配分で2つの工程を任されることがありますので、多能工は統括するリーダーに時間配分をきちんと主張しないと時間に追われてしまいます。

転職の重要性と多能工のメソッド

現代社会において終身雇用制度はすでに崩壊しています。経団連の会長やトヨタ自動車の豊田章男社長も「これまでの終身雇用制度を維持していくことは難しい」と明言しています。このような状況で一つの会社にしがみつくのは得策ではなく、各人が自身のキャリア形成について積極的に考えていかなくてはなりません。

キャリア形成で重要となってくるのは市場価値です。そして市場価値を高めていく方法として有効なのが多能工のメソッドです。

多くの人は1つのスキルしか持たないため、同じスキルを持った”その他大勢”に分類されてしまいますが、多能工はスキルを複数保有しまいます。必然的に競争相手が減りますので「選んでもらう」立場から「求められる」立場へクラスチェンジできます

”あなたにしかできないこと”があれば、必然的にそれを求める人が声をかけますので多能工のメソッドは市場価値を高めるうえで非常に重要です。

多能工と単能工の違い
@takeno_kotori

多能工になるには複数スキルを習得しなければなりません。そのためには「転職」が重要なキーワードとなります。

【詳細記事】転職のマインド 終身雇用崩壊後の社会を生き抜く転職の重要性

スキルを習得するには多くの時間を要します。本業をやりながら他の技術を習得するのは効率的ではありません。それよりも本業でスキルを学ぶ方が圧倒的に有利です。新しいスキルを得るために次々と転職していくスタイルが多能工になる最短のルートです。

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多能工とは

多能工は製造業や建設業などの専門職種と思われていますが、”複数のスキルを持っている働き手(マルチプレーヤー)”こそ多能工の真髄です。つまり業界・職種に関わらず誰でも多能工になれるのです。

【詳細記事】多能工は製造業だけ?多能工の考え方を解説

多能工の考え方こそ『終身雇用の崩壊』『小子高齢化』という現代社会が抱える病に対処する薬になり得ると考えています。

スキルを掛け合わせることで希少性を獲得し、市場価値を上昇させることが”その他大勢”に埋没することなく存在感を示す方法です。多くの人から求められる人材になるには、多能工の考え方はとても重要です。この記事を通して多能工の考えが広まれば幸いです。

多能工とは
  • 多能工の発祥はトヨタ自動車から。「トヨタ生産方式」の変革の過程で生まれた。
  • 多能工は工程を兼務できるので省人化・効率化が図れる。小子高齢化の現代社会にマッチした働き方。
  • スキルを掛け合わせることで希少性が獲得できる。給与アップも望める。
  • 多能工になるにはスキルの習得に時間がかかる。またスキル同士に相関性(シナジー)がないと意味をなさない。
  • 多能工になるには転職が必須。転職を繰り返すことでスキルを積み重ねていく。
  • 多能工になることで希少性が獲得できる。希少性=市場価値なのでキャリア形成において優位にたてる。
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