多能工は小子高齢化する社会に適した働き方です。昨今では多能工推進への取り組みも見られるようになってきました。ですが多能工には具体的にどのようなメリットがあるのか?逆にどのようなデメリットがあるのかを?を知らないと多能工を目指すには不安ですよね。
この記事では多能工のメリット8選とデメリット8選を紹介します。これから多能工を目指すか否かの判断材料になりますので是非ご参照ください。

【詳細】プロフィール
- 多能工とは?どのような存在なのか
- 多能工のメリット8選
- 多能工のデメリット8選
- 多能工に向いている人の特徴
多能工とは
前提として多能工とはどんな存在なのかというと、複数の工程を兼務することで価値を生み出すスペシャリストのことです。工程を兼務するには異なるスキルを複数保有する必要があります。またスキルを掛け合わせることで市場価値を拡大することができます。

【詳細記事】多能工とは?小子高齢化社会を生き抜く多能工のメソッド
多能工のメリット8選

- 作業を省人化できる
- コストを安くできる
- 少量多品目生産にむいている
- 工程を俯瞰で見る力が養われる
- リーダーになれる
- スキルの掛け合わせでオンリーワンの存在になれる
- 市場価値が高まることで給与アップがねらえる
- 会社から独立できる
①作業を省人化できる
多能工は工程を兼務することができるので人員の数を減らすことができます。また人員を減らすことで人件費削減、工程間の引継ぎによるタイムロスやコミニケーションエラーの回避をすることができます。

②コストを安くできる
例えば社外への外注の場合、複数の専門職へ仕事を依頼するケースが普通だと思いますが、依頼する相手が多能工であればそれらの仕事を一括して依頼することができますので発注コストは大幅に削減できます。
③少量多品目生産にむいている
工場などでは同一の商品を作るのに生産ラインを組んで大量に作ることが主流でしたが、近年は商品の複雑化や多様なニーズにより少量を多品目扱うことが多くなりました。生産ラインを組むと導入コストが高く、少量なためイニシャルコストを回収できないという問題が発生していました。
そのような状況に対し、トヨタ自動車など多くの企業は多能工を導入することで生産量を調整かつ多品目の生産に対応してきました。
【詳細記事】トヨタに学ぶ多能工の導入
④工程を俯瞰で見る力が養われる
専門工は自分の担当エリアの情報しか取り入れないため他工程に関しては把握していない場合が多いです。ですが本来は全ての工程を俯瞰的に見て情報を取り入れた方が連携がうまくいき余剰な生産コストを割かずにすみます。
多能工は複数の工程を担当するので必然的に情報量が増えます。したがって多能工になることで工程を俯瞰で見る力が養われます。
⑤リーダーになれる
多能工になると工程全体を俯瞰で見ることができるようになります。これは全体を統括するリーダーに必要不可欠な能力です。各所の進捗や予定を把握し適切な指示を行う技術は多能工になることで磨くことができます。
⑥スキルの掛け合わせでオンリーワンの存在になれる
単能工は1つのスキルしか持たない為、大勢の同業者がライバルとなりますが複数のスキルを獲得することで求められる立場になります。2つのスキルを持つ者は少なくなり、3つのスキルを持つものはさらに少数になります。それらのスキルを掛け合わせることで希少性が増しオンリーワンの存在になることができます。

⑦市場価値が高まることで給与アップがねらえる
希少性は現代社会における市場価値です。数が少なく、有能な存在はそれ相応の対価を払うに値します。多能工になることで市場価値が高まるので給与交渉で有利にはたらきます。
⑧会社から独立できる
市場価値が高まれば個人としての信用が貯まります。すると会社の信用を使わなくとも商売ができるようになるので会社から独立して起業することができます。また起業しないとしても、会社に依存するマインドから解放されるという利点があります。市場価値が高いので転職市場に売り出せば多くの企業から手が上がるでしょう。この会社でなくてもやっていけるというカードをいつでも切れる状態が今の仕事に安心感を持たせます。
多能工のデメリット8選

- スキルを習得するまでに時間がかかる
- 時間管理ができないと大変
- 何でも屋と勘違いされがち
- 意志が強くないと周りに左右されてしまう
- 新しい環境に飛び込む勇気が必要
- 一時的に給料が下がる場合がある
- スキルが習熟していないと中地半端になる
- 関係のないスキルの掛け合わせは役に立たない
①スキルを習得するまでに時間がかかる
多能工として大成するまでには時間がかかります。それはプロと呼べるまでにスキルを習熟させるのに相応の時間を要するからです。
教育改革実践家の藤原和博氏の著書「藤原和博の必ず食える1%の人になる方法」によると、1つのスキルを習得するのに、だいたい1万時間を要すると言われています。これは小学校入学から中学校卒業までの義務教育にかけられる時間と同じです。
年間260日を稼働日として1日8時間をスキル習得に費やした場合、1万時間を達成するまでに4〜5年を要します。大成するまでに時間がかかるということを念頭に置いてキャリアを構成する必要があります。

②時間管理ができないと大変
多能工は複数の工程を兼務できる存在ですが例えば2つの工程を兼務したとして2人区作業(2人分の作業量)が単純に1人区作業(1人分の作業量)になるわけではありません。工程の管理者がこのことを理解していない場合があるので、多能工は時間配分に関して管理者とすり合わせしないと厳しいスケジュールを強いられてしまいます。
③何でも屋と勘違いされがち
多能工はよく”何でも屋”と勘違いされてしまいます。複数のスキルを持っているために「何でもできる」「何でも頼めばやってくれる」と思われてしまいます。その際、押しに弱いと専門外のことをやらされて納得のいかない仕事をするはめになります。それが常習化すると多能工のブランド価値を下げる結果になってしまうので注意が必要です。
④意志が強くないと周りに左右されてしまう
多能工は大成するまでに時間がかかります。長い下積み時代を過ごす間に同世代の仲間たちは次々に出世していくことでしょう。周りに流されて出世競争に仲間入りしてしまうと会社に依存する人間になってしまいます。会社の看板ではなく個人の看板で稼げる人材になるために我が道を行く意志の強さが重要です。
⑤新しい環境に飛び込む勇気が必要
スキルを獲得するには新たな環境に飛び込む勇気が必要です。部署移動や転職をすると新しい環境で馴染めるか不安に思うこともあるでしょう。慣れ親しんだ環境を捨てることができないと新たなスキルを獲得することができません。
⑥一時的に給与が下がる場合がある
多能工としてスキルアップするのに転職は有効な手段です。ですが転職により給与を下げてしまう場合もあります。特に未経験分野に関しては最初から転職先に利益を提供できないので給与が下がってしまうケースもあります。
ですが長期的な視点でみればスキルを獲得した後は市場価値があがるので下がった分はすぐに回収できます。スキルを獲得するための修行期間に給与が下がってしまうことは必要経費と割り切ることが重要です。
⑦スキルが習熟していないと中地半端になる
スキルが習熟していない状態で次々と職を変えるのは得策ではありません。なぜならどのスキルも中途半端では結局役に立たないからです。重要なのは経験数ではなく誰もがプロと認めるだけの技術です。あくまで客観的にみてプロと呼べるだけのスキルが身についたかを意識しないと浅い技術力を積み重ねたところで市場価値はさほど高くなりません。
⑧関係のないスキルの掛け合わせは役に立たない
スキルの掛け合わせは相性(シナジー)が重要です。
例えば『陶芸スキル』と『プログラミングスキル』の掛け合わせではどうでしょうか?シナジーが全く想像できませんので良い相性とは言えないでしょう。『陶芸』×『料理』や『プログラミング』×『WEBデザイン』などシナジーを起こせるスキルを獲得していかないと市場価値を高めることはできません。
明確に将来像を描いてキャリアアップしないと不要なスキルの獲得に時間を費やすことになってしまいます。

メリット・デメリットからわかる多能工に向いている人の特徴

多能工のメリット・デメリット8選から総合的に判断すると以下のような項目が当てはまる人は多能工に向いていると言えるでしょう。
・待機晩成型
・変化を恐れない
・全体を統括するリーダーになりたい
・周りに左右されない意志がある
・上昇志向がある
上記に当てはまる人は多能工を目指してみてはいかがでしょうか。多能工は製造業や建設業での職種ではなく、どの分野でも転用が可能な働き方です。
【詳細記事】多能工は製造業だけ?多能工の考え方を解説
上記項目に当てはまらなかった方も今後のキャリア形成の参考にしていただければ幸いです。
- 多能工のメリットは以下の8つ
①作業を省人化できる
②コストを安くできる
③少量多品目に向いている
④工程を俯瞰で見る力が養われる
⑤リーダーになれる
⑥スキルの掛け合わせでオンリーワンの存在になれる
⑦市場価値が高まることで給与アップがねらえる
⑧会社から独立できる - 多能工のデメリットは以下の8つ
①スキルを習得するまでに時間がかかる
②時間管理ができないと大変
③何でも屋と勘違いされがち
④意志が強くないと周りに左右されてしまう
⑤新しい環境に飛び込む勇気が必要
⑥一時的に給与が下がる場合がある
⑦スキルが習熟していないと中途半端になる
⑧関係のないスキルの掛け合わせは役に立たない - 多能工に向いているのは
・大器晩成型
・変化を恐れない
・全体を統括するリーダーになりたい
・周りに左右されない意志がある
・上昇志向がある